Old Bricks, British Bond


旧奈良監獄を紹介する映像の英語版の仕事を通じて、明治時代の西洋文化を一刻一秒でも早く、そして貪欲に吸収しようとした先人たちの職人魂を知りました。監獄にしては美しすぎるレンガ建築です。この美しさを利用して、解体されることなく、ホテルとして保存・再生することが決まったそうです。

レンガの建物、監獄と言えば、以前アイルランドの詩のプロジェクトでご一緒した詩人 佐々木幹郎さんが自著「やわらかく、壊れる」で、東京の豊多摩監獄について書かれた印象的な一節が忘れられません。
「廃墟になる寸前のこの監獄の美しさに目を奪われたのだ。8ミリカメラを回して記録し、最後の獄舎が砂粒になるまでを見届けようと思った。現場から帰ると、そのたびに詩を書いた」

知的好奇心とはおもしろいもので、今まで気にもならなかったオフィスの近く(横浜駅から徒歩10分程度)にも古い「イギリス積み」のレンガ建築の遺構を発見!しかも階段の基礎になっているようです。レンガの積み方の違いも建築鑑賞には欠かせないそうで、この映像の仕事で「イギリス積み(British Bond)」と「フランス積み(Flemish Bond)」という異なるレンガの積み方があることを知りました。
旧奈良監獄を紹介する映像が発表されたら またお知らせいたします。とても興味深い内容です。

★ 佐々木幹郎さんの著書「やわらかく、壊れる」のご紹介:東北大震災前に書かれた本ですが、このタイトルにもなった重要ポイントは、今でも痛烈に私達の使い捨て文化・開発に警鐘を鳴らしています。本全体に優しい視点が溢れています。

「重要なのは、建物はいつかは必ず壊れる、ということ。それならば、いかに被害を少なくして倒れるか、ということが、未来の建物の設計思想となるはずだ……建物も都市も、いかに、やわらかく壊れることができるか。阪神大震災が教えてくれた教訓は、このことに尽きる」