外国語版の映像制作は初めてで、 「英語版作りたいけれど、どうすればいいの?」 というご担当者からのお問い合わせが多く寄せられますので、ここに参考程度ですが、翻訳を上手に依頼するポイントや準備すべき事項をまとめてみました。

■だれに見せるのか?

最近では、営業促進を目的した映像だけでなく、M&Aにより、新たに会社のメンバーになった海外支店のスタッフや、その雇用を目的とした、企業案内やブランド周知の映像が増えつつあります。

また、同じ商品や技術の紹介でも、業界内と一般対象では言葉の選択などのアプローチが異なります。対象を意識することで、よりダイレクトに映像が利用されることになるでしょう。

■ナレーションより字幕?

ナレーターを雇うより、字幕で対応する方がコストが節約できるのではないか、というのは正解でもあり間違いでもあります。コストは確かに節約できますが、その映像を活かせるかどうかで言えば、ナレーションの映像の方が表現者が加わることで、伝わる力が強くなります。特に、日本語より外国語は文字量が多く、日本語に合わせた字幕を作ろうとすると、表示時間は当然短く、忙しいものになり、映像を見る時間が少なくなってしまいます。また、外国語は文字ではなくワードという複数の文字からひとつの単語になっているので、改行する場所が難しく、作業も手間も、字幕の方が負担になるのです。今ではYoutubeやFaceBookの映像に字幕機能が加わり、とても便利に字幕を展開できるようになりました。ナレーション映像を作っておいて、その後さまざまな言語の字幕を展開していけるようにしておくのがベストではないでしょうか?

■単位はどうする?

売上規模などを表す通貨は、時速、重さと言った単位もケアする必要があります。その他、温度を表す摂氏、華氏はどちらがいいか、ターゲットの国をリサーチする必要があります。同様に、江戸時代や東京ドーム何個分などの日本語独自の表現は、そのまま直訳しても伝わりません。例えば江戸時代なら西暦や世紀などの数字で直接表すのか、「昔の日本の商人が台頭してきた時代」のように、イメージが湧きやすい簡単な説明を付け加えて翻訳してほしいか、小さいことですが一つずつクリアしなければならない箇所です。
翻訳を依頼するときに、先程の映像を見せるターゲットの説明と映像を利用する目的やシーンの説明と共に、業界で使われている単位を予め知らせていただくか、こういう単位にも注意して翻訳して欲しいと一言添えて頂けると、作業がとてもスムーズです。

■オリジナルの台本を海外向けに見直す

日本の企業が自社の紹介映像を作る時、ロケーションの説明から始まることがよくあります。工場や、本社の所在地は、水や自然に恵まれた、あるいは日本のどこに位置する県にあるのかなどの説明です。僅か3分程度の映像尺で、45秒も本社の所在地の説明をするのはもったいないです。海外の方は日本の地理にそれほど詳しくないでしょうからこのシーンはロケーションよりは、会社のポリシーや、最近の活動状況の説明に費やす、本筋である自社製品やサービスにダイレクトに切り込むなど、台本の見直しと変更を強くおすすめします。

■日本語ならではの言葉

「漫画、うまみ、盆栽、かわいい、台風」といった、特別な日本語が海外でも知られるようになってきました。この流れで、企業映像の中に「ものづくり(Monozukuri)」 ,「改善(Kaizen)」や「匠(Takumi)」などがそのままアルファベット表記で用いられることが多くなってきました。業界に知られている言葉であれば問題ないですが、使用に際しては注意が必要です。以前日本の観光誘致の映像で「YOKOSO! JAPAN!」に関わった時、収録スタジオでも、その後のネット上でもこのYOKOSO!が「いい言葉のチョイスだと思う vs 外国人には伝わらない」との両意見に分かれました。未だに自分でも明快な答えが出ないままですが、新しい言葉に対する人間の脳の働きもそれぞれということだそうなので、もう少し解析を待ってみたいと思います。

■日本語英語

「私たちはお客様をサポートしていきます」、映像のエンディングの締めの言葉として人気のあるフレーズですが、このサポートは本来助けを必要とする弱者に対して使われる言葉で、英語でそのままsupportを使うと、かなり上から目線になってしまいます。またカスタマー・サービス・センターはお客様のサービスをマネジメントするところではなく、コールセンターの意味になります。このような間違いの指摘が受けられるよう、なるべく柔軟な姿勢でシナリオ作りに取り組むといい結果につながると信じています。

■船頭多くして。。。

自社のサービスや製品の販促目的の映像を作る時、さまざまなセクションの担当や営業から「これは外せない」「これも入れて欲しい」と、たくさんのリクエストが入ります。断りきれずにすべてを受け入れた結果、内容がかぶっている、原稿が長すぎて尺に収まらなくて、かなり早口でナレーションが入る、映像が長くて集中して見られない、という残念な結果になることもあります。各部署にあらかじめ「尺(秒数)」を割り振っておく、断る勇気を持って作業を進めることをおすすめします。映像ディレクターさんに相談するといい解決につながります。

■インタビューは時間に余裕を持って

インタビュー部分をネイティブの翻訳者用にわかりやすい文章にしようとすると、実は何を言っているのかよくわからないことがよくあります。 「やっぱり」「という風に思います」を連発する方は、途中で本人が何を言っているかわからなくなってしまうこともあり、短いインタビュー時間内でも もう1度やり直してもらうと、うまくいきます。特にアジア圏の人への英語のインタビューは聞き取るのも難しいので、インタビューの後に必ず「あなたの言ってることはこういうことですよね?」といった確認をしておくと後の編集以降の作業がスムーズです。
また、インタビューに答えている方がどういう方なのか、字幕で名前や役職を表示するため、必ず英語表記の名刺をもらって置くことをお忘れなく!

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