映像翻訳を依頼される時によく聞かれる質問です。ここでは映画ではなく、企業映像での利用を前提にお話します。
日本語は外国語に比べると主語や目的語を省いても通じることから、文字数としては少なめな言語で、字幕に有利な言語です。
言い換えると、海外の映画を日本で上映する時に、吹き替えに比べ、圧倒的に字幕対応が多いですが、これは日本語の特長を活かしています。
一方英語は文字数が多めな言語です。つまり字幕に向かない言語でもあります。
字幕のプラス面といえば、音を出して聞きづらい環境では字幕が圧倒的に有利となることと、ナレーション収録のコストが節約できることでしょう。
企業映像は映画の字幕のように翻訳サイドで勝手に原稿をカットしたり、変更できないため、忠実に翻訳するのが原則ですので、その結果文字はどうしても多めになります。またチャート図と併用する場合、画面は文字だらけになってしまい、せっかくの映像を見る時間的余裕がなくなります。さらに、最近の再生アプリにはモニター下部に、字幕以外の情報を盛り込んだりするものもあり、字幕とかぶって読みづらいこともあります。これがマイナス面です。
個人的には音量はオフにすれば済むことなので、やはりナレーションを入れるほうが、映像としては効果的でおすすめです。
(スペイン語、ポルトガル語に翻訳する場合は、英語より長くなりますので、こちらは強くナレーションをおすすめします。)
展示会では、全体的に会場の音が大きく、ナレーションが聞きづらいことが多いので、これを補完する字幕の両方を用意するのがベストでしょう。映像に焼き付けるタイプの字幕でなく、FBやYoutubeで使われるSRTファイルのように字幕ファイルを映像に流し込むソフトタイプの字幕を使えば、現場で急な変更にも柔軟に対応しやすくなっています。
では、商談などのビジネスの場で使用するのはどちらがいいと思いますか?
これはナレーションだそうです。字幕だと会話が止まってしまうそうです。自社の歴史や商品を映像で流すと、話題がはずんだり、違うアプローチから思わず商談が進むことがあるそうです。
結論としては、やはりナレーションがいいようですね。